「アラスカ便り」No.4

2020/9/7

アラスカ便り

絵本「あるヘラジカの物語」出版のお知らせ

絵本「あるヘラジカの物語」があすなろ書房より出版されました。著者の鈴木まもるさんは、絵本作家であり、鳥の巣研究家でもあります。鈴木さんも自然の中で暮らし動物が好きだったこともあり、星野道夫と出会ってすぐに仲良くなったそうです。アラスカの家には、鈴木さんが描いてくださった「わたしおてつだいねこ」のかわいい絵が今でも飾ってあります。息子が小さかった時には、鈴木さんの絵本をよく一緒に読んでいました。

昨年の夏、久しぶりに鈴木さんから連絡がありました。
夜寝ていて、「あっ、この絵本を描きたい」と目が覚めたとのことでした。鈴木さんの中には、星野道夫のいくつもの写真の強い印象が内在していたとのことでしたが、その時鈴木さんの心に浮かんだのが、2頭のムースの角が絡んだまま骨になった写真(「風のような物語」-あるムースの死)だったそうです。そしてすぐに夜中に本を読み直し、全体の構成を考え、ダミー(見本)本を作ったとのこと。そしてそれを見てもらいたい。
とのことでした。その時私はアラスカに滞在中だったので、アラスカにダミーを送ってもらいました。そのダミーを見て、とても素晴らしい絵本になると強く感じました。1枚の写真と、それにまつわる話(あるムースの死)をベースに、鈴木さんの温かなまなざしでとらえられた世界観が加わった物語となっていました。

その後鈴木さんは、絵本の舞台が10月初旬のサベージ川(デナリ国立公園内)ということもあり、長年の夢であったアラスカ行きを実行します。雪原の大地で体感したアラスカの空気感や、出会った動物たちの様子は、絵本の中から生き生きと伝わってきます。

鈴木さんからのメッセージを一部紹介します。
「絵本の形にすることで、1枚の写真から星野君が伝えたかった、大きな自然の中での生命のつながり、死ぬことと生きること、生命ドラマを、小さいお子さんからでも星野くんの世界を感じられるようになってくれれば嬉しいです。」

鈴木まもるさんによって新たな命を吹き込まれた星野道夫の世界を、たくさんの方々に見ていただけますと幸いです。是非手に取ってご覧ください。

星野直子


書名:あるヘラジカの物語
絵と文:鈴木まもる
原案:星野道夫
出版社:あすなろ書房
定価:本体1,500円+税
ページ数:32頁
ISBN:978-4-7515-2967-6
初版:2020年9月
対象:小学校中学年

鈴木まもるさんプロフィール
画家・絵本作家・鳥の巣研究家

一覧に戻る
ページトップへ